「資金繰りが厳しい」と気づいたときには、もう遅い。
これが中小企業の資金繰り破綻の典型パターンです。1ヶ月先の入出金は見えていても、3ヶ月先までは見えていない。だから、急な支払いや想定外の入金遅延が来たときに対応できない。
この記事では、誰でも作れる 3ヶ月先までの資金繰り表 の基本構造と、最低限押さえるべき5項目を解説します。
資金繰り表の基本構造
資金繰り表は、難しいフォーマットを使う必要はありません。Excel/Googleスプレッドシートの 5×N行マトリクス で十分です。
| 項目 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
|---|---|---|---|---|
| ① 月初残高 | 5,000 | ? | ? | ? |
| ② 入金合計 | 8,000 | ? | ? | ? |
| ③ 出金合計 | 7,500 | ? | ? | ? |
| ④ 月末残高(①+②-③) | 5,500 | ? | ? | ? |
| ⑤ 必要残高(給与・返済+α) | 4,000 | 4,000 | 4,000 | 4,000 |
(単位:千円)
これだけで、「いつ資金が足りなくなるか」が一目で分かります。
最低限押さえるべき5項目
1. 月初残高(前月末残高の引き継ぎ)
各銀行口座の月末残高を合計します。現預金の総額であり、ここがすべての出発点。
通帳と試算表の数字が合っているかも、あわせて確認します。
2. 入金合計(売上の入金 + その他入金)
売上計上日ではなく、入金日で記入します。これが最重要のポイント。
- 売掛金の入金サイト(30日後 / 月末締め翌月末払い 等)
- 振込手数料を引かれた後の金額
- カード決済の入金タイミング(KOMOJU/Stripe等は月2回など)
「売上があるのにキャッシュがない」状態は、ここを見誤ると起きます。
3. 出金合計(固定費 + 変動費 + 一時的支出)
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 固定費 | 家賃、給料、社会保険、リース、定期サブスク |
| 変動費 | 仕入、外注費、広告費 |
| 一時的支出 | 税金(消費税・法人税・源泉所得税)、賞与、設備投資 |
| 借入返済 | 元金返済(利息は経費なので別計上でも可) |
特に 税金の支払いタイミング は、見落とすと致命傷です。
- 消費税の中間納付(前年税額により1〜11回)
- 法人税の中間納付(決算月+8ヶ月後)
- 源泉所得税(毎月10日 or 半年に1回)
4. 月末残高(① + ② - ③)
計算式は単純な足し引きです。Excelなら =B1+B2-B3 で自動計算。
5. 必要残高(生命線ライン)
最も重要な項目です。「ここを下回ると経営が止まる」金額 を引いておきます。
- 翌月の給与・社会保険
- 翌月の借入返済
- 緊急時の運転資金(理想は固定費の3ヶ月分)
月末残高が必要残高を下回る月が出たら、その2〜3ヶ月前から手を打つ。これが資金繰り表の使い方です。
作るタイミングと頻度
| タイミング | 内容 |
|---|---|
| 月1回(月初) | 前月実績の確定、3ヶ月先までの予測を見直し |
| 大きな支払い前 | 該当月の残高シミュレーション |
| 資金調達検討時 | 必要額・タイミングの根拠資料として使用 |
理想は 毎週末に5分 見直すこと。難しければ月1回でも、作っていない状態よりは100倍まし。
よくある失敗
| 失敗 | 影響 | 対策 |
|---|---|---|
| 売上計上日で入金欄を埋める | 1〜2ヶ月のズレで残高見誤り | 入金日ベースで記入 |
| 税金の支払予定を入れ忘れる | 急な大きな出金で資金ショート | 年初に税金カレンダーを作る |
| 借入返済を忘れる | 残高計算が合わない | 月初に必ず引き落とし額を確認 |
| 賞与を見落とす | 6月・12月で大きく崩れる | 年初に賞与月を予測欄に反映 |
まとめ
資金繰り表は、作ることが目的ではなく、毎月見直すことが目的です。
- 5×N行マトリクスでOK
- 入金は「入金日」で記入する
- 月末残高 vs 必要残高 を必ず比較する
- 月1回は必ず更新する
最初は精度が低くても構いません。3ヶ月続ければ、自社のキャッシュフローのクセが見えてきます。
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